上高田保育園ー園長と最も語り合ったのは宮沢賢治の世界でした。

建築と住まいの雑誌「チルチンびと」に掲載された記事を園長さんがご覧になり問い合わせをいただきました。
子供たちにリズムを思いっきりさせてあげられるホールが欲しい。それが一番のご要望でした。

敷地は長野の住宅地の中にあり、しかも正方形。建蔽率もギリギリななか、ホールを中心とした廊下の無い一つのまとまった「お家(うち)」のような建物をイメージし設計しました。
子供たちが昼間起きている時間は殆どこの保育園で育ちます。保育園は子供たちにとって過ごしやすい「お家」でなくてはなりません。
もちろん、合板や化学物質などを使わず国産材でできた安心安全な建物でもあります。

宮沢賢治の「注文の多い料理店」に出てくる山猫がいたり、森の中のトイレだったり、登れる壁、潜れる床などなんだかわからない建物の世界となりました。

「　・・・・・ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。」※注文の多い料理店序文より