2001年に独立してから旅館も沢山設計させていただき沢山勉強させてもらいました。私は岐阜県出身なもので、安房トンネルを超えると知らず知らず岐阜弁を喋っている自分がいました。
岐阜県奥飛騨において旅館を何軒かやらせていただきました。お客様をどうもてなし喜んでいただけるか、いろんな仕掛けを作るのがとても楽しい仕事です。まず初めに「新平湯温泉 松宝苑」。以前勤めていた「降幡建築設計事務所」時代の最後の頃の仕事です。新潟の古民家を移築し、茅葺の外観を見せ、客室は飛騨造りの古民家の外観をモチーフにして敷地と建物をラウンドスケープしてみました。
福地温泉「かつら木の郷」-本体工事は高山の大和工務店さんの仕事でしたが、10年後、4部屋を増築しました。増築部分は合板ゼロ、断熱材も羊毛を使って無垢材で仕上げるという自然素材を意識して作りました。
新平湯温泉「山ぼうし」-高山の山奥にあった3階建ての古民家を飛騨造りに作り替えてみました。母屋、10室の宿泊棟、個室食事棟、浴室棟と独立した建物を連続させ、狭い敷地でも広さを感じる配置を演出してみました。
「槍見館」-本体工事は安曇野で活躍中の大谷さんの設計。大谷さんとは降幡建築設計事務所時代の先輩で、細やかな数寄屋の建物を得意としていました。私は10年後、客室を洋間への改修などを関わらせていただきました。
「野の花山荘」-某会社の保養施設としてありましたが、槍見館の社長さんが古民家とはまた一味違った旅館を作りたいと購入。前面リフォームをさせていだきました。当時はまだ珍しいオープンキッチンを作ったり、目の前でご飯を竈で炊いたり、魚を焼いたりと楽しい仕掛けを作りました。メインはこの薪ストーブのある土間です。もともと階段がドーンとあったのですが、一番見晴らしのいところにあって邪魔だなあ、ここはみんなが火を囲む場所がいいと考えて作りました。目論見通り、食事後の語らいの場所として活用されています。